悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
つかさは車の中で昨日のことを詳しく聞いた。
「実は一昨日の昼間、つかさのおじいさんの見舞いに行ったんだ」
「えっ、そうだったの?」
「手土産を持って軽く話を聞いたら、おじいさんが思い出したことがあると言っていた」
突き飛ばされる直前、何やら甘い香りがしたらしい。
バラのような香りで恐らく女性ものの香水ではないかという。
その話を聞いた時、頼久はピンときた。
「僕もつい最近バラの香水の匂いを嗅いでいたから、その人物を問い詰めた」
その相手は内海まりえだった。
すぐに彼女を問い詰めたところ、突き飛ばしたことを認めて傷害罪で逮捕された。
その事情聴取の際、関屋に脅されて仕方なくやったと白状したらしい。
「実は内海は要くんの事件に関わっているんだ」
「ええ!? まさか、内海さんが犯人なの?」
「いや犯人ではない。だが横領の方に関わっている。だからこの前話を聞いてきた」
それを聞いてカフェで頼久とまりえが話していたことを思い出した。
「横領を要くんがしたように偽装したのが内海なんだ。ただ内海は領収書に不備があったと聞いて、修正しただけだと思っていたらしい。横領の片棒を担がされていたとは知らなかったと怒っていた」
「そうだったんだ」
「その後関屋に脅された。言うことを聞かなければ、お前も横領の共犯で捕まえるとな」