悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
恐らく場所はバー・TRUMPだろうと踏み、先回りすることを思いついた。
國光に事情を話し、あの店を貸し切りにするように頼んだ。
「しかし祖父は店ごと買収していた」
「えー!?」
「全く祖父には驚かされる。その上マスターになりすますと言い出す始末だからな」
これには頼久も呆れていた。
「おじいさま、すごいね……」
流石は六条グループ会長といったところ。半端なことはしないということなのだろうか。
マスター役もかなりノリノリだった。
とにかくそうして関屋の領地を乗っ取ることに成功し、このまま泳がせて現行犯での逮捕を狙った。
店には客を装い検察事務官の藤川、松丸と松丸の部下の女刑事、更に店の周りを刑事たちが見張っていた。
どこにも逃げ場がないと思っていた場所は、実はとても安全地帯だったのだ。
「だが、つかさが機転を利かせてくれたのが大きかった」
「え?」
「僕に電話をかけただろう。無言電話だったからおかしいと思い、すぐにスマホのGPSを調べた。おかげで関屋に気づかれることなく動けたからな」
「やっぱり気づいてくれてたんだね……。ありがとう」
頼久なら、きっと気づいてくれるだろうと思っていた。
圏外の場所に連れて行かれて不安だったけれど、改めて安堵の涙がこぼれる。
「つかさのことは何があっても絶対に守る」
「ありがとう……」