悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
数日後、手嶋社長殺害の容疑で娘婿の手嶋郁夫が逮捕されたと報道される。
手嶋郁夫は元社長秘書の内海まりえと不倫関係にあり、彼女とのデート費用を経費から横領していた。
その件が社長にバレ、役員を解任され娘とも別れろと迫られた。更に社長は郁夫の父にも報告すると言い出したそうだ。
郁夫の父は権田原という政界ではかなりの有力者で、手嶋の娘との結婚を決めたのも権田原だった。
権田原はテシマホールディングスとのパイプを得ただけでなく、郁夫を婿養子に出すことで実家から追い出したのだ。
その理由を頼久から聞いたつかさは、かなり驚愕した。
「相田さんの事故を起こしたのが手嶋郁夫なの!?」
「そうだ。手嶋郁夫、いや当時権田原郁夫は煽り運転事故を起こした。息子が捕まれば自分の名誉にも傷がつくと考えた権田原は、金と権力で握り潰した」
その結果、過失致傷罪という判決となり権田原は郁夫の保釈金を支払って自由の身にしたらしい。
その後相田の飛び降り自殺という悲劇が生まれた。
「権田原はこの件で息子を見限り、自分に都合の良い結婚をさせて実質勘当したんだ。その上で不倫と横領で離婚されたなどと父に報告されたら――もう自分は完全に終わると思ったんだろうな」
「それが殺害動機なんだね」
郁夫は衝動的に手嶋社長を刺し殺してしまう。
もっと大きな罪を犯した郁夫が頼った人物が、関屋剛造だった。