悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 関屋剛造は十年前の事故の担当検事だった。
 権田原の指示を受け、証拠を徹底的に握り潰したという。その後権田原の口添えもあり、関屋は順調に出世して検事正にまで昇り詰めた。

 しかし郁夫は権田原から勘当されているため簡単に見捨てられると考えられ、過去の事件が掘り返された場合関屋の立場も危うくなる。


「だから要に罪を着せたの?」
「そうだ。確実に起訴にするため、息子を担当検事にしてな」
「……許せない」


 つかさは拳を握りしめる。


「自分のことしか考えてない人たちのせいで、罪のない人たちが苦しめられるなんて……絶対に許せないよ」
「ああ、奴らにはしっかり自分の罪と向き合ってもらう。絶対に逃さない」


 頼久は静かに、だけど言葉の裏には確かな熱がこもっていた。


「僕はこれからも検察官として犯罪者と戦っていく」
「ありがとう」


 つかさは頼久の手を握りしめる。


「頼くんがいてくれて、検事になってくれてよかった。一緒に戦ってくれてありがとう」
「つかさもよく頑張ったな」


 頼久はつかさの額にキスを落とす。


「要くんは再審の判決で無罪になるだろう。関屋も捕まり取引は終わる。だから別の取引をしたい」
「別の取引?」


 首を傾げるつかさの腰に腕を回す。


「これからも僕の最愛の妻としてそばにいてくれないか?」
「期間は?」
「永遠にだ」


 つかさは微笑み、頼久の首元に腕を回してぎゅっと抱きつく。


「取引成立!」


 頼久は一瞬目を丸くしたが、すぐに細めてつかさを抱きしめ返した。


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