悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。

エピローグ



 季節はめぐり、二月。日本ではまだまだ極寒の季節だが、シンガポールは暖かい。
 雨季から乾季へと移り変わる時期でもあり、この日は晴天だった。

 正に絶好のウェディングフォト日和である。


「はい、撮りますよ〜。旦那さん表情固いですねぇ」


 カメラマンの向けるカメラに向かって、頼久は真顔を貫いている。


「笑顔でお願いしますよ〜」
「もう頼くん、笑ってよ」
「むぅ……」


 頼久は先程からずっと表情が固い。
 やはり写真は苦手らしく、ぎこちなくてつかさは思わず苦笑する。


「写真苦手なのによくこのウェディングフォトプランにしてくれたよね」
「それはそうだろう。世界一綺麗なつかさが見られるんだ」
「ちょっと……!」


 突然爆弾を投下されて赤面する。頼久はこういう時でも真顔だ。


「着替えて見せた時は何も言ってくれなかったじゃない! 黙ってすぐどこか行っちゃうし」
「あまりにも綺麗すぎて直視できなかっただけだ」
「なんでそんなこと真顔で言うの!?」
「思っていることを言っているだけだが」


 ずるいなぁと唇を尖らせる。
 自分は黒いタキシードに身を包んだ頼久を見た時、あまりのカッコよさに表情筋が緩んで仕方なかったのに。

 今だって隣の頼久を見るたびにときめいてしまう。


「ふふ、仲良しですね〜」


 カメラマンはニコニコしながらシャッターを切っていた。


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