悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 あれから、要は再審で無罪判決を受けた。
 出所する時は家族全員で迎えに行き、泣きながら抱き合って喜んだ。

 無実が証明された要は解雇を取り消すといわれたそうだが、会社はそのまま退職した。


『正直もう心折れた。これからは家族のために頑張るよ』


 そう言って実家に戻り、農園を手伝っている。
 これからもっと勉強して、祖父の分まで美味しい梨を作るのだと意気込んでいた。

 改めて要と頼久が対面し、要は自分のために尽力してくれたことを心から感謝し『姉をよろしくお願いします』と深々と頭を下げた。
 頼久は『必ず幸せにします』と言い切ってくれ、つかさは胸が熱くなった。

 六条家にも改めて挨拶した際、國光から思わぬ申し入れがあった。

『実はうちのホテルのレストランでみすみさんの梨を使いたいのだよ。仕入れさせてくれんかね?』

 六条グループが経営する一流ホテルのレストランにみすみの梨が使われることになった。
 コース料理のデザートに使われた梨のコンポートは、とろけるほど美味しい。

 それからというもの仕入れ先が増え、カフェも活気が戻っていた。

 少しずつ日常を取り戻していき、結婚式に向けて準備を始めた。
 つかさと頼久が選んだのは、シンガポールでのハネムーンを兼ねた挙式だ。

 マーライオンパーク、マリーナベイサイド、更にはセントーサ島のビーチでもウェディングフォトが撮影できる。
 更に親族だけを招いて結婚式を挙げる。

 家族に恩返しができるような結婚式にしたいというつかさの希望を叶え、頼久が海外旅行も兼ねたプランを選んでくれた。
 國光は支援するからもっと派手にやればいいと言ったが、丁重に断った。


「祖父に任せるとどこまでも派手になって大変なことになるからな」
「それもちょっと興味あったけど、私は小ぢんまりしたのも好きなんだよね。一人一人の距離が近いから」


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