悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
箱入りのお嬢様の嘉那は梨作りに興味を持ち、食事会の後にみすみ梨園を訪れている。
今までやったことのない農業に驚きながらも、感動していた。
年が近いことから特に芯とは意気投合し、それから何回も足を運んでいるそうだ。
写真でも芯の隣で仲睦まじく笑っていた。
「芯ちゃんと嘉那ちゃん、お似合いだと思わない?」
「……そうだな」
「あれ、もしかしてお兄ちゃん的には複雑?」
「別に。嘉那はまだまだ子どもだから迷惑をかけていないか心配なだけだ」
「もう、頼くんたちがそうやって子ども扱いするの不満そうにしてたよ」
どうやら嘉那は年の離れた妹でずっと甘やかされているらしく、それが大人になっても変わらないので面白くないらしい。
「嘉那ちゃん言ってたよ、危なそうなことすると昔からお兄ちゃんに怒られるって」
「嘉那はドジだから目が離せないんだ」
「あんまり過保護だと嫌われるよ」
そういうと頼久は黙りこくってしまう。
なんだかんだで妹がかわいくて仕方ないんだろうなと思うと微笑ましく思う。
一度は途絶えた家族ぐるみの関係が、新たな形で復活するのも嬉しかった。
「それよりつかさ、そろそろ移動しよう」
頼久はさりげなく手を差し出す。
この後は結婚式前夜ということで、二人きりでのディナーを予定している。
「うん、すっごく楽しみ」
つかさは心が弾みながら彼の手を取る。
二人は互いに指を絡ませ合い、並んで歩き出すだけで幸せな気持ちになった。