悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 しかもその相手は頼久だ。
 ずっと大好きだったけれど叶わない恋だと思っていた相手。もう一度会えるかどうかもわからなかったのに、今は夫婦として一緒にいる。
 とても不思議で奇跡みたいだと思った。


「ありがとう、頼くん。私を選んでくれて」
「それはこっちの台詞だ」


 頼久は眩しそうにつかさを見つめる。


「僕にはつかさしかいない。これからもずっと、つかさだけを愛すると誓うよ」
「も、もうっ! 早いよ! 結婚式は明日なのに」
「先に言ったのはつかさだろう」
「頼くんがこんなに情熱的だったのが一番意外だった」
「ずっと抑えていたからな」


 そういって頼久はシャンパンを口にする。


「でももう抑え込む必要がなくなった」
「頼くん……」


 頼久は昔から感情を表に出さない人だった。
 仕事中も常に冷静で感情に流されない。それが彼の強さであり、冷酷に見える所以でもある。

 そんな彼が真っ直ぐに愛を伝えてくれる。
 それが嬉しくてくすぐったくて、泣きそうになる。


「つかさ、左手を出してくれないか」
「左手?」


 言われて差し出すと頼久は薬指に嵌められた指輪をそっと外した。


「プロポーズをやり直させてほしい」
「えっ……」


 頼久はつかさの手を握り、じっと目を見つめる。メガネのレンズ越しの瞳があまりに美しく、聞こえそうなくらい心臓がうるさいのに目が離せなかった。


「つかさのことが、ずっと好きだった。離れていても忘れられなかった。これから先の人生はずっとつかさと一緒にいたい」
「……っ」
「僕と結婚してほしい」
「っ、はい……」


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