悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
涙を堪えられないつかさの左手に、もう一度指輪を嵌める。
指輪を買った時はあくまで結婚を証明する飾りみたいなもので、何の思い入れもなかった。
だけど改めて愛を誓い、改めて左薬指に嵌めた指輪は先程とは違う輝きを放っている。
いつの間にか観覧車は天に到達し、まるで星空の中に浮かんでいるようだ。
この景色が二人を祝福してくれているようだった。
「ふふ、イニシャル刻印してよかったね」
「そうだろう」
「あの時からこうするつもりだったの?」
「そこまで考えていたわけじゃなかったが、いつかこうなりたいという願望はあったな」
「意外にロマンチスト」
「……似合わなくて悪かったな」
「ううん、大好き」
ずっと一緒にいても知らないことはある。
きっとまだまだつかさの知らない頼久がいるのだろう。
これからも一番近くで彼の色んな顔を見ていたいなと思った。
(どんな頼くんにもときめくんだろうな)
不意に彼の顔がすぐ目の前にあり、つかさは静かに目を閉じる。
触れるだけの口付けだけで、胸がいっぱいになる。
「愛してる」
「私も」
もう一度二人の影は重なり合う。
重なった唇から頼久の想いが伝わってくるようで、甘くて苦しくてまた泣きそうになる。
観覧車はゆっくりと回り続けている。
たくさんすれ違って遠回りした二人を表しているようだった。
だけどめぐりめぐって今がある。
そして、これから先の未来はきっと輝いている。
頼久と一緒なら、どんなことでも乗り越えていける。
fin.


