悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
第一章 悲劇と再会は突然に
「お待たせいたしました、梨のソルベでございます」
自家製の梨で作ったソルベは今の暑い季節にピッタリで、自然な甘さが引き立つ自慢のメニューだ。
「すみません、梨のソルベ二つ」
「かしこまりました」
すぐに次の注文が入った。
休日の昼下がりということもあり、客足が途絶えない。
「このソルベ、美味しい!」
「冷たくて甘くて沁みるね」
お客様の嬉しそうな笑顔を見ていると、こちらまで幸せになる。
美味しいと言って喜んでくれる瞬間が、一番の幸せだ。
「ありがとうございました! またお待ちしております」
「つかさ、そろそろ休憩したら?」
カフェのオーナーでシェフでもある母・つぐみが声をかけた。
「大丈夫。これから農園の方にも顔を出したいし」
「あまり無理しちゃダメよ。ただでさえ暑いんだから」
「大丈夫だって!」
つかさはニコッと微笑み、カフェのすぐ隣に広がる梨農園へと向かった。
ここは千葉にある「みすみ梨園」。
一家で経営するこの梨農園を手伝うのが、美澄つかさの仕事だ。
梨園のすぐ隣にはカフェを併設しており、自家製の梨スイーツや梨を使った紅茶が楽しめ、千葉の隠れ家的カフェとしてTVで紹介されたこともある。
「おじいちゃん、手伝うよ」
「おおつかさ、ありがとう」