悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
つかさは頼久への想いをとことん隠した。
せめて幼なじみとして、これからも傍にいたい。
そのために自分の気持ちは絶対に悟られてはいけない。
あくまで今まで通り、気兼ねなく話せる幼なじみであり続けることを心がけた。
幸いにして頼久は大学受験で忙しく、今は恋愛をするつもりはないようだ。
一流大学の法学部を志望している頼久は、勉強で手一杯の様子だった。
つかさはたまに祖父の梨を差し入れていた。
頼久は梨が大好物で、モチベーションが上がると毎回喜んでくれる。
『頑張ってね、頼くん』
せめて今だけは、幼なじみとして傍にいさせて欲しい。
切なる想いを胸の中だけに押し殺し、彼の前では笑顔を貼り付けた。
*
頼久は見事に法学部に合格し、更に並行して司法試験の勉強と忙しくしていた。
なかなか会う機会が少なくなってしまったことは寂しいが、夢に向かって邁進している姿を見ていると安心する。
(でも頼くん、好きな人とはどうするのかな……)
そんなことを考えていたある日、つかさは学校からの帰り道に一人の女性に声をかけられた。
『あなたが美澄つかささん?』
その女性は茶髪のロングヘアを綺麗に巻いた吊り目の美人だった。
持っているバッグはつかさでも一目でわかるブランド物だ。