悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 *


 翌日、今日もつかさは刑務所を訪れていた。
 要はあまりご飯を食べられていないらしく、昨日よりもやつれて見えた。


「要、ちゃんとご飯食べなきゃダメだよ? 体壊しちゃうじゃない」
「食堂のメシ、美味くないんだ。ばあちゃんの飯のが百倍美味い」
「要……」
「姉ちゃん、もう毎日来なくていいよ」
「どうして?」
「俺は大丈夫だから」
「大丈夫じゃないでしょ!」


 思わず語気が強くなってしまっていた。


「私は要が心配なだけなの。家族なんだから、心配させてよ」
「わかってるよ……でも、一人にして欲しいんだ」


 要はボロボロと大粒の涙をこぼす。


「姉ちゃんの気持ち、わかってる。わかってるつもりなんだけど……つらいんだ。俺のせいで迷惑かけてるのに」
「迷惑だなんて思ってないよ!」
「でも……ごめん」


 つかさはそれ以上は何も言えなかった。
 何度迷惑じゃないと言い募っても、きっと要を苦しめるだけなのだ。

 要は何度も「ごめん、ごめん」と呟きながら泣きじゃくっていた。


「……わかった。会いに行くのは週一にする」
「……ごめん……」
「でも、絶対要を一人にはしないから。私がしたくないの」
「……うん、ありがとう」


 つかさは立ち上がり、面会室を後にした。
 部屋を出てから特大級の溜息が漏れ出て、思わずその場にしゃがみ込む。

 要は想像以上にメンタルを削られている。
 自分にできることはなんでもしたいと思うのに、何もできなくてもどかしくてたまらない。


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