悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
要が帰ってきたことで美澄家は全員揃い、尚且つ騒がしくなった。
「要、仕事はどうなの?」
母のつぐみが尋ねる。
要は大手不動産会社に勤め、投資コンサルティングをやっている。
「よくぞ聞いてくれました! 実は俺、社長秘書に抜擢されたんだ」
得意げな要につかさは目を丸くする。
「社長秘書!? すごいじゃない」
「去年社長の前でプレゼンする機会があったんだけど、その時俺の企画を気に入ってくれてさ。秘書として来てくれないかって言われたんだ」
「すごい! お祝いしなきゃだな」
要の出世に家族は皆大喜びだった。
要は子どもの頃、たくさん稼いで大金持ちになってやると夢を語っていた。
子どもらしい夢だが、実は理由がある。
元々立樹は東京で友人と小さな化粧品会社を立ち上げ、梨の化粧水を売りにしていたが売上が伸びずに倒産。
その後一家揃って千葉に引っ越し、祖父の梨農園を手伝うことにしたのである。
そんな経験から、要は絶対に東京で成功するのだと子どもの頃から夢見ていた。