悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
「本日は少しだけご挨拶させていただきたく、お伺いいたしました。実はつかささんとは、結婚を前提にお付き合いさせていただいております」
「「えーーっ!!」」
両親は二人揃って大声をあげる。
「つかさ、そうなのかい?」
「実は……」
こんなに急に交際宣言されるとは思わず、つかさも気まずくて両親の顔が見られない。
「そうだったの? 全然知らなかったわ!」
「要のことがあったから言いそびれてて……」
つかさはしどろもどろになってしまう。
少しくらい打ち合わせさせてくれたら良かったのに、と内心で頼久を恨んだ。
「今日は軽いご挨拶だけで失礼いたしますが、後日改めて伺ってもよろしいでしょうか」
「も、もちろんです! ねぇ、お父さん!」
「は、はい。こんなところで良ければ……」
「ありがとうございます」
頼久は深々とお辞儀し、「それでは失礼いたします」と踵を返す。
するとつぐみが「待って!」と呼び止めた。
大急ぎで家の中に入ったかと思うと、大量の梨が入った袋を持って出てくる。
「はい、うちの梨持って行ってください」
「ちょっとお母さん!」
「だって頼久くん、おじいちゃんの梨をおいしいおいしいってたくさん食べてくれてたじゃない」
「……よろしいのですか?」
「ええ、もうたくさんありますから!」