悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
「あの事件があってからつらいことばかりだったけど、嬉しい報せが聞けて良かった。頼久さん、つかさをよろしくお願いします」
「こちらこそ、つかささんは必ず幸せにします」
涙を流しながら頭を下げる父を見て、つかさは胸が苦しかった。
この結婚は、父が望んでいるような幸せなものではない。
互いの利害関係により成立した契約結婚なのだ。
それなのにつかさを思い、涙を流して喜んでくれる両親を見て騙しているような気持ちになる。
「要くんの件は伺っております。ご家族の心中、お察しします」
頼久がそういうと、母のつぐみはハンカチで目を押さえる。
「私たちにはどうすることもできなくて……。あの子、お姉ちゃんの結婚式にも出られないのかしら」
「その件ですが、僕にお任せいただけませんでしょうか」
「と、言いますと?」
「あの事件の調書を拝見しましたが、不可解な点が多い。もし本当に要くんが犯人ではないなら、立派な冤罪です」
頼久は少し身を乗り出し、二人の目を見て言った。
「今知人の刑事に頼み、事件を洗い直してもらっています。この事件のことは、僕に任せていただけませんか」
「ほ、本当ですか!」
立樹もつぐみもパァッと顔を明るくさせる。
「是非よろしくお願いします!」
「頼久くんが弁護してくださるなら心強いわ!」