悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
そこから終始和やかに会話が進んだ。
結婚についてもとても喜び、祝福してくれた。
「頼久は頭の固いところがありますが、どうかよろしくお願いします」
「ふふっ、それにしても頼久がつかささんと結婚だなんて。良かったわね、だって」
「お袋」
何か言いかけた美嘉を頼久が制する。
「せっかくだから梨をいただこう」
「ああ、そうね。剥いてくるわ」
そういうと美嘉は梨を持ってキッチンに向かった。
頼久は明らかに話を逸らした。
(お母様、何を言おうとしてたんだろう?)
つかさは首を傾げたが、章久に要の事件を振られたのですぐにその疑問は消え失せた。
「そういえば、今弟さんが大変なようですね」
「あ、はい……」
「頼久から話は聞いています。私もできる限りの協力はしましょう」
「ほ、本当ですか!」
つかさは思わず前のめりになってしまった。
「ええ、何やらあの事件はきな臭い……」
「え?」
「いえ、何でもありません。頼久、しっかりつかささんを支えてあげなさい」
「わかってる」
案外弟が大変な時に結婚なんて、とは言われなかった。
むしろこの状況だからこそ、だと捉えてくれたようだ。
その上で協力すると言ってもらえることは心強い。
(よくよく考えたら、今の私をこんなに好意的に迎え入れてくれるのは、昔から知ってるからなんだよね。幼なじみが都合がいいっていうのは、何だかわかるかも)