悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
つかさは昔よく入り浸っていた頼久の部屋を思い出していた。
白を基調とした家具で揃え、必要最低限のものしか置かない。
物を飾るという発想がなく、旅行に行くとつかさは頼久にご当地キャラクターのぬいぐるみやオブジェをお土産にしていた。
『こんなもの何に使うんだ』と眉間に皺を寄せながら、つかさのお土産を律儀に飾ってくれていて、それが地味に嬉しかった。
「……ふふっ」
「どうした?」
「いや、相変わらず質素だなと思って」
「生活に困らなければ何も問題はない」
「でも何だか寂しくない? お花くらい飾ったらいいのに」
これだけスペースが余っているのだから、大きめの観葉植物も余裕で置ける。
緑があるだけでも和む空間になるだろう。
「君が欲しいなら好きに買って置けばいい。だが、あの変なキャラクターはやめてくれ」
「変なキャラクターってどれ?」
「よく買ってよこしてきただろう。何だかよくわからない、くまだが犬だか」
「あーー! あれは妖精だよ。アニメのキャラクターなの。前にも言ったと思うけど」
「知らん。とにかくあいつはもう腹いっぱいだ」
仏頂面をしていたが、もしかして実家にまだ飾ってあるのだろうか。
頼久の口ぶりからそんな気がした。
「……まだお家にあるの?」
「別に。面倒でそのままにしてあるだけだ」