悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 近くのホームセンターで良さそうな棚を物色しながら、これから一緒に住むという実感が湧かないなと思った。


(頼くん忙しそうだし、あまり家にはいなさそう。ルームシェアしてる感覚になるのかな)


 別に甘い新婚生活など期待しているわけではないが、何となく寂しいなと思った。

 先程は少しだけ昔と同じような距離感で話せた。
 頼久は相変わらず仏頂面だが、それでも昔の雰囲気を感じると嬉しくなる。


(だけど昔みたいに話したいと思うのは――私の我儘だよね)


 結婚して同棲するまで怒涛の速さで流されるままここまできてしまったが、つかさはあの時のことをきちんと謝罪できていない。

 内海まりえとはとっくに別れているのだろう。
 今更過去の恋愛を掘り返すつもりなどないし、つかさに契約結婚を持ちかけてきた時点で相手がいなかったこともわかっている。

 幼なじみという関係性に利点が多いのも、何となく理解していた。
 だが、実際のところ頼久がつかさをどう思っているのかわからない。

 あんな風に傷つけてしまったことを、本当はどう思っているのだろう。
 どこかできちんと謝らなければと思いつつ、なかなかその機会がなかった。

 だけどこの件を謝罪できなければ、いつまでもギクシャクとした関係から前に進めないと思った。
 たとえつかさ自身のエゴだとしても。


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