悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
*
つかさは良さげな棚をいくつか買って帰った。
郵送もできたがすぐに欲しかったので、自分で持ち帰ることにした。
農業なんてしていると重いものを持つのに抵抗がない。
これくらいなら、と平気で抱えられる。
「おっと」
「わっ、すみません」
平気で抱えられると言っても三つは多すぎたか、よろけて人にぶつかりそうになってしまった。
「失礼いたしました。怪我はありませんか?」
「いえ、当たったわけではないので……あれ、もしかしてつかさちゃん?」
「えっ」
改めてぶつかりそうになった男性の顔を見ると、頼久によく似た端整な容姿をしていた。
「ハルくん!?」
「やっぱり! 久しぶりだな!」
「久しぶりだね!」
頼久の一つ上の兄・惺久だった。
惺久は嬉しそうに目を細める。
「今ちょうど頼久の家に向かうところだったんだ」
「あ、そうだったの? でも頼久さん、今仕事でいなくて」
「なんだ、結婚祝いを持って行くって言ってあったのに」
惺久は細長い形のショッパーを持っていた。
恐らく中身はワインだろうか。
「改めて結婚おめでとう。つかさちゃんが義妹になるなんて嬉しいよ」
「ありがとう」
「それにしても、それ一人で持つつもりだったのか?」
「あ、うん」
急に一人で棚を三つも抱えていることが恥ずかしくなってしまう。
「持とう」