悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 ザッと目を通し、頼久は嘆息した。


「概ね読み通りだな」
「流石っすよ、永瀬さん。やっぱ目の付け所が違いますね」
「僕は一つの仮説を立てたにすぎない。ここまでの裏付けができるのは藤川の手腕だ」
「俺は言われた通りに調べただけなんで。面白いっすよ、予想通りの情報がホイホイ出てくるの」


 藤川はニンマリと口角を上げる。


「美澄要は無実だ。間違いない」
「あれ、そこは最初からわかってたんじゃないっすか?」
「裏付けができたから確実に無罪だとわかったということだ」


 頼久は何事も裏が取れるまでは決め付けないようにしている。
 最初から決め付けてかかると、先入観が生まれてしまうからだ。

 真実を見極めるためには、細部までとことん調べ尽くすことを信条としている。


「まずは、この監視カメラ映像がフェイクだと立証するところからだな」
「それは案外簡単だと思いますよ。エンジニアの友人に聞いてみたら、合成映像ってすぐにわかったんで」
「やはり合成か」


 要は犯行時刻、秘書室で仕事をしていた。
 しかし監視カメラには何故か要が映っている。

 監視カメラ映像を過去まで遡って確認したところ、事件から約一ヶ月前に社長室から慌てた様子で出てくる要の姿があった。

 この映像を解析すると、証拠品として提出された映像とほぼ合致したらしい。


「マヌケですよねー。元の映像を消しておかないなんて」
「美澄要が逮捕されれば、過去映像までは見られないと思ったのかもしれないな」
「だとしても、抜かりすぎでしょ」
「全くだ」


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