悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 関屋にとって無実を訴え続けるつかさの存在は邪魔でしかない。このままではいずれ何をするかわからない。
 だったらこちらも手段は選ばず、つかさのためなら悪魔になってもいい。


(つかさだけは絶対に守り抜く)


 こうして強引にでもつかさとの婚姻を結んだ。
 頼久が結婚したと知ると、関屋検事正が話しかけてきた。


『永瀬くん、聞いたよ。結婚したそうじゃないか』
『検事正、ご報告が遅れて申し訳ございません』
『君には是非うちの姪をと思っていたのに残念だ。何はともあれ、おめでとう』
『ありがとうございます』


 頼久は深々とお辞儀をする。


『それにしても相手はあの美澄の姉と聞いたが、本当なのか?』
『はい、実は彼女とは幼少期からの幼なじみなのです。今回の事件があり、彼女のことを支えたいと思いました』


 こういう時、幼なじみとは便利なものである。


『ほう、そうだったのか』
『ええ、それだけのことですよ』
『いや君は何か企んでいるんじゃないかと思ってな。私の考えすぎかな?』
『考えすぎですよ』


 関屋検事正は笑みを浮かべているが、目は全く笑っていない。


(この古狸め……)


 関屋剛造検事正が姪と結婚させたがっていたのは、頼久を手駒にするためだということはわかっている。
 大きな後ろ盾を持つ頼久に好き勝手させないためだ。


(あの事件は検事正も関わっているかもしれないな……)


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