悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
検事正は身内に甘くて有名だ。
息子の火消しを一つ残らず綺麗にやっているくらいなのだから。
今回の件も親子で絡んでいる可能性は高い。
頼久にまつわる黒い噂を流したのが関屋成史であることはわかっている。
実際証拠品のねつ造を行っているのは自分のくせに、あたかも頼久が行っているように風潮している。
調べればそんなのは真っ赤な嘘だとわかるためこれまで相手にしてこなかったが、もう看過するわけにはいかない。
(悪辣検事と言われようが構わない。つかさを守れるならどんなことでもする)
だが自分は嫌われて憎まれてもいいと思っていたはずなのに、心の奥ではそこまで割り切れていないと気付かされた。
昔ながらの呼び名で嬉しそうに兄の話をする姿を見た時、奥底に封印したはずの嫉妬心がよみがえる。
もし結婚相手が惺久だったら、喜んでいたのだろうか。
惺久ならば要の弁護も完璧にやってみせ、公私ともにつかさを支えられたのだろうか。
フった男に未だに執着されていると知ったらきっと困惑するだろうと思い、あくまで互いに利のある結婚であると強調した。
自分の本当の想いを告げるつもりもないくせに、誰にもつかさを渡したくない。
無理やりにでも手に入れたい、そして離したくはない。
そんな独占欲を抱えているなんてつかさには知られたくないと思った。