悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
第六章 見えない壁
季節は十月。梨の収穫は品種によって異なるが、八月から十一月頃まである。
今は新高という品種の収穫時期だった。
つかさは週に四日程度は実家に帰り、収穫を手伝っていた。
家族からは大丈夫だと言われたが、丹精込めて育てた梨を収穫できる瞬間はなんだか感慨深いものがある。
「つかさ、今日も持って帰るでしょ」
「ありがとう」
毎回たくさんの梨を持たせてくれるので家にある梨もなかなか減らない。
「それとこれ、おばあちゃんの梨レシピ」
「わあ、助かる!」
梨はそのまま食べるのが一番美味しいと思っているが、流石に食べきれなくなってきた。
祖母の工夫された梨料理に挑戦してみようと思っていたところだ。
最近は梨をすり潰してスムージーにしたりもしている。
これは頼久が大変気に入り、朝起きると自分でスムージーを作っているほど。
「頼久くんは元気? 忙しいのかしら」
「いつも忙しそうだけど梨スムージー飲んで頑張っているみたいよ」
「そう。仲良くやれているようで良かったわ」
「うん、まあね」
仲良くと言っていいのかわからないが、最近頼久の態度が変わった。
前に比べると軟化した気がするし、なんだか距離が近くなったような気がする。
(今朝もすごく驚いたんだよね……)
朝起きて朝食の準備をしている時、上の戸棚にある皿を取ろうとした。
なかなか届かなくて懸命に手を伸ばしていたら、横から長い手が伸びて皿を取ってくれた。
「あ、ありがとう」