悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 つかさは驚いた。皿を取ってくれたからではなく、距離の近さに驚いた。
 思ったよりも頼久の体が触れそうな距離にあり、思わずドキッとする。

 取ってくれた皿に切った野菜を盛り付けていると、今度は頼久の手がつかさの頬に触れた。
 驚いて振り返ると、頼久は真顔で髪の毛を見せる。


「ついていた」
「あ……、ありがと」


 何気ない些細なことだが、いちいち気になってしまう。


(なんだか頼くん、最近距離近くない?)


 気のせいかもしれないが、時折そう感じることがある。
 あからさまに距離を詰められているわけではない。
 だが今までは二人の間に見えない壁があったが、今はそれがなくなった気がする。

 昔のように頼くんと呼ぶようになってから、近くなったと思うことが徐々に増えていた。
 かといって仲が良いと言える程でもなく、なんだか不思議な気分である。

 同居生活は思いのほか順調だ。
 頼久は忙しくてほぼ家に帰らないかと思っていたが、案外そうでもない。

 どうしても互いの時間が合わず食事が別々になることもあるが、頼久の帰りが早い時は一緒に食べている。
 家事のルールについて担当分担を細かく決められた時は頼久らしいと思ったが、おかげでストレスなく過ごせている部分も大きい。

 彼氏と同棲する友人の話を聞くと、家事のやり方について喧嘩したりするらしい。
 だが互いに綺麗好きで几帳面なおかげか、気持ちよく過ごせているのは有り難かった。


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