悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
なんだかんだ子どもの頃からの付き合いだと、頼久の生活ルールについて知っている点も大きいのかもしれない。
たとえば食事の食べ方一つでも昔と変わっていないと思うと、微笑ましくなる。
(頼くんは好きなものは一番最後に取っておく派なんだよね)
こういう一面を垣間見ると、悪辣検事といわれようがやはり頼久は頼久なのだと思う。
最近は些細な表情の変化を読み取れるようになった。
早速祖母の梨料理を作ったら、最初は驚いていたが口に入れた瞬間気に入ったのだと悟る。
「……うまいな」
「ふふっ、よかった」
一緒に食事をしていると、こういう一面が見られるので楽しい。
何を作っても残さず完食してくれるし、頼久が作る手料理も美味しい。
最近は負けないようにと新しいメニューに挑戦することもある。
「つかさ、週末の予定はどうだ?」
「日曜は空いてる。たまには休みなさいって無理やり休みにされた」
「だったら出かけないか?」
「へっ?」
思わず気の抜けた声が漏れた。
「ほぼ毎日東京と千葉の往復でなかなか気が休まらないだろう?」
「いや、でも……」
「要くんが気がかりなのはわかる。君の性格なら要くんが大変な時に遊んでいる場合じゃないなどと考えそうだ」
正に図星だった。
「だがつかさが暗い顔をしているのは要くんは望んでいないんじゃないか? 楽しい話題を持ち帰って聞かせてあげたらどうだ」
「頼くん……」