悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
ランチメニューそっちのけでパンケーキが気になってしまう。
ミックスフルーツパンケーキは季節ごとに変わるらしく、今は秋のフルーツを使っている。
だがこのカフェの一番人気は苺パンケーキなのでこちらも外せない。
決めかねるつかさを見兼ねて頼久が言った。
「そんなに悩むなら僕が苺を頼む」
「えっ!?」
思わず頼久を凝視した。
「いいの? 頼くんって辛党じゃなかったっけ?」
「別に甘いものが嫌いなわけじゃない」
「じゃあ、半分こしたい」
「わかった。それより飯はどうするんだ」
「待って、パンケーキが入るもの選ぶから」
再度メニューと睨めっこした挙句、つかさはデミグラスオムライスで頼久はタコライスにした。
「美味しそう!」
「その割になかなか食べないな」
頼久はタコライスをかき混ぜて口に運ぶが、つかさはオムライスに手を付けず写真を撮っている。
「頼くんこそ写真撮った?」
「撮らん」
「なんで?」
「逆に撮る必要があるか?」
聞き返されて前にも似たような会話をしたのを思い出す。
つかさがご飯の写真を撮っている間、頼久はすぐに食べ始めて訝しそうにつかさを見ていた。
「頼くんって普段から写真撮らないでしょ」
「旅行に行けば数枚は撮る」
「数枚なんだ。私なら百枚超えるのに」
「そもそも写真は苦手なんだ。隠し撮りされたこともあるし」
「ああ……」