悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
頼久は苺パンケーキを半分に切り分け、つかさの皿に乗せる。
「落ち込んでいる時は甘いものに限る」
「それって」
「君が教えてくれただろう」
確かあれはつかさが小学四年生、頼久が六年生の頃だった。
学校から帰ってきた頼久は元気がなかった。
理由はわからないが何か落ち込むことがあったのかもしれない。
そう思ったつかさは母手作りの梨ゼリーをあげた。
『おちこんでる時はね、甘いもの食べると元気になれるよ!』
頼久は梨ゼリーの美味しさに驚き、あっという間に平らげていた。
(そんなに昔のこと覚えていてくれたんだ……)
何故今日出かけようと誘ってくれたのか疑問だったけれど、落ち込んでいると思ったからだろうか。
このカフェに行ってみたいと言った時、女性向けのかわいらしいカフェだしパンケーキに興味ないだろうと嫌がられると思っていた。
ダメ元だったが普通に一緒に来てくれて、パンケーキをシェアしている。
こんな風につかさに合わせてくれるのは、頼久なりに元気づけようとしているからだと気づいた。
「……ありがとう」
昔から頼久は不器用ながらに優しい。
そして彼のそういうところが大好きだった。
「なんかしんみりしちゃってごめん! 食べよっか」
つかさは自分のパンケーキも切り分けて頼久の皿に乗せる。
「僕はいい」
「そう言わずに食べようよ。絶対美味しいって」