悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
今日は在宅ワークでおやつに梨ゼリーを食べ、時折洗濯機を回すなどの家事を行っていた。
会社勤めでないと自分のペースで仕事ができる点がメリットである。
目の前の数字と向き合わなければならないが。
毎年季節限定の梨スイーツを作っており、お得意様でもあるパティスリーからも今年は遠慮したいと言われてしまった。
このままではいけない。時間の風化を待っているだけではダメだ。
「自分から営業かけないとダメかなぁ……」
なんて思っていたら、スマホの着信音が鳴る。
相手は惺久だった。
「もしもし」
《もしもし、惺久です。つかさちゃん、今いいかな》
「うん、どうしたの?」
《実は母がまた美澄さんの梨が食べたいと言っているんだが、注文できるだろうか》
「あ、本当に? だったらまた送るね」
《ありがとう。三箱分くらい頼めるか?》
「三箱も?」
《うちは親戚が多いからな。美味しいから親戚中に配りたいって母が聞かないんだよ》
「わかった。すごく嬉しい。私からお義母さんにお礼言っておくね」
《よろしく頼む》
思いがけない注文が入って有難いし、何よりみすみの梨を気に入ってくれたことが嬉しかった。
「あ、そうだハルくん、ちょっと質問なんだけど」