前世での誓い
「ごめんなさい。…変な言い方だったかも」
「どこがですか!破壊力抜群じゃないですか…。もっと話しましょう?那津さんの話も聞きたいです」
まだ耳の淵を赤く染めている新さんと、スピードを落として歩く。新さんと手がもう少しで触れそうな距離で、どう話そうか順序立てる。新さんはこの距離、何とも思ってないのかな。たまに手の甲が当たって、その度に変に距離を空けるのに、また手の甲が当たる。
ドキッと心臓が飛び跳ねるのと同時に、新さんに対して懐かしさを感じた。以前にも、こうやって2人並んで歩いた記憶がある。でも男性経験のない私に、その記憶があるのはおかしい。父親かおじさんしか男性といえる、隣にいた人はいないし、この2人だと感じている懐かしさがしっくりこない。安心というより、隣にいた人を愛していた記憶。
「金曜日に落ち込むことがあって」
「僕が話しかけた日ですか?」
「その日です。会社クビって言われたんです」
私が会議室でクビと言われた時と同じ反応をした新さん。オチを知らないから、哀れんだ目で私を見るのが、今は笑える。