『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
――ずっと、騙されていた。すべて兄の嘘だった。
真実を知ったのに、不思議と怒りも悲しみも感じなかった。
兄にとって自分は、守るべき弟などではなく、動かないように抑え込む対象だった。ただそれだけは鮮明に理解できた。
だが次の瞬間紗月の傷ついた顔が鮮明に浮かんできて、航生の胸は引き裂かれんばかりに苦しくなった。
(俺は、永井にとんでもないことをしたのかもしれない)
航生はなにも悪くない紗月に〝顔も見たくないと〟と一方的に暴言を吐いたのだ。
後悔の念と、焦燥感で吐き気がした。今すぐにでも紗月に謝りに行きたい。でも、彼女の連絡先はもちろん、実家の場所も、今彼女がどこでなにをしているのかも一切知らない。
第一、あれから七年も経っている。今さら会いに行って頭を下げても彼女は航生をはっきり覚えているかすら怪しい。覚えているとしても思い出したくもない黒い記憶でしかないだろう。わざわざ掘り起こしてどうする。
葛藤の末、航生は赴任地であるオランダに戻った。しかしどうしても紗月が元気でいるか知りたくて、調査会社を通じて彼女の情報を得ることにした。
真実を知ったのに、不思議と怒りも悲しみも感じなかった。
兄にとって自分は、守るべき弟などではなく、動かないように抑え込む対象だった。ただそれだけは鮮明に理解できた。
だが次の瞬間紗月の傷ついた顔が鮮明に浮かんできて、航生の胸は引き裂かれんばかりに苦しくなった。
(俺は、永井にとんでもないことをしたのかもしれない)
航生はなにも悪くない紗月に〝顔も見たくないと〟と一方的に暴言を吐いたのだ。
後悔の念と、焦燥感で吐き気がした。今すぐにでも紗月に謝りに行きたい。でも、彼女の連絡先はもちろん、実家の場所も、今彼女がどこでなにをしているのかも一切知らない。
第一、あれから七年も経っている。今さら会いに行って頭を下げても彼女は航生をはっきり覚えているかすら怪しい。覚えているとしても思い出したくもない黒い記憶でしかないだろう。わざわざ掘り起こしてどうする。
葛藤の末、航生は赴任地であるオランダに戻った。しかしどうしても紗月が元気でいるか知りたくて、調査会社を通じて彼女の情報を得ることにした。