『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
 妙な居心地の悪さを感じつつ弁明すると、大須賀は眉間に軽く皺を寄せた。

(やだ、初めて会った人が気になるくらい私、不健康そうに見えるのかな)

 たしかに紗月は大人になるまで人より少しふっくらした体形だった。

 就職後に痩せ初め、最初は能天気に喜んでいたものの、不規則な生活やストレスに寄る体重減少はよくないと気づいて少しでも改善しようと試みた。しかし、忙しさの中で体調を気遣う余裕はなく、この半年は怖くて体重計に乗れていない。

「なにか悩みでも抱えてるのか?」

 こちらが口を開く前にストレートに切り込まれ、紗月は目を丸くした。

「大須賀さん?」

「食欲がないなんて、体調不良じゃなければストレスが原因だろう」

「そんな大げさな話じゃないから」

 慌てて首を横にふったが、彼は引き下がらないばかりか、軽く身を乗り出してきた。

「俺たちは初対面だし、お互いをほとんど知らない。関係のない相手だからこそ、零せる愚痴もあるだろう。吐き出す相手くらいにはなれる。気軽に話してみないか」

(すごい前のめり……)

 大須賀の勢いに紗月は軽くのけぞる。
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