『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
「あの子と同じで、あなたもパッとしないのね」

(あの子と同じ? 私はともかく、航生さんのどこがパッとしないの?)

「ええと、お義母さま」

 顔を上げて反論しようとすると典子の顔が醜く歪む。

「その言い方やめてくれる? あなたたちの結婚、私は許可していないわ。本当は航生なんかが大須賀を名乗るのも認めたくなかったのに。生まれも卑しいし、背が高いだけでぼさっとしてて、なにを考えてるかわからないじゃない。少し海外で成果を出したからっていい気になって、父親に取り入ろうとしてるのよ」

 航生を否定する言葉がとまらない。甲高い声を聞いている内に紗月の眉間に皺が寄る。最初からわかってはいたが、この人は航生の敵なのだ。

(だったら、妻である私にとっても同じ)

 紗月はキッと表情を引き締めた。自分のことはどう言われても構わないが、航生が貶されるのは耐えられない。

「それで、わざわざお越しいただいたご用はなんでしょうか」

 あらかた見当はついていたが、あえて紗月は典子に尋ねる。

「航生と別れなさい」

 予想していた言葉が返ってきて紗月は思わず肩を竦めた。

「理由をうかがっても?」
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