『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
勝一の視線の先には紗月が初めて気づく存在がいた。理仁に控えるように立っているひとりの女性。色白で華奢な体に上品なドレスを纏い、いかにも育ちが良さそうに見える。きっと理仁の婚約者なのだろう。
しかし、彼女の視線は理仁ではなく、航生に注がれていた。見とれるように頬をわずかに染めているのに気づき紗月は思い知る。航生の端整な容姿は、婚約者のいる女性すら惹きつけてしまうらしい。
「僕も大人ですから。もう、ご心配は及びませんよ――お義母さん」
航生がわざとらしく語尾を強調したのは、典子が航生にそう呼ばれたくないのをよく知っているからかもしれない。その証拠に典子の顔が怒りに染まる。
「気やすく呼ばないで! お前なんて所詮愛人の――」
さらに言い募ろうとする典子を止めたのは、ここまでずっと黙っていた理仁だった。
「お母さん、人目がありますから」
息子に窘められて、典子は初めて口を噤んだ。
「僕たちの結婚を受け入れていただき、感謝します」
航生は、視線を社長夫妻と兄にゆっくりと巡らせ、最後に紗月を見て腰を引き寄せた。
「こうしてずっと好きだった女性と結婚できて、僕は幸せです」
しかし、彼女の視線は理仁ではなく、航生に注がれていた。見とれるように頬をわずかに染めているのに気づき紗月は思い知る。航生の端整な容姿は、婚約者のいる女性すら惹きつけてしまうらしい。
「僕も大人ですから。もう、ご心配は及びませんよ――お義母さん」
航生がわざとらしく語尾を強調したのは、典子が航生にそう呼ばれたくないのをよく知っているからかもしれない。その証拠に典子の顔が怒りに染まる。
「気やすく呼ばないで! お前なんて所詮愛人の――」
さらに言い募ろうとする典子を止めたのは、ここまでずっと黙っていた理仁だった。
「お母さん、人目がありますから」
息子に窘められて、典子は初めて口を噤んだ。
「僕たちの結婚を受け入れていただき、感謝します」
航生は、視線を社長夫妻と兄にゆっくりと巡らせ、最後に紗月を見て腰を引き寄せた。
「こうしてずっと好きだった女性と結婚できて、僕は幸せです」