『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
彼からの謝罪に引きずられるように、十年前の光景が脳裏に鮮明に蘇る。
たしかに紗月はあの言葉に深く傷つき、それを長い間辛い記憶として胸の奥にしまい込んできた。けれど、それは、航生にとっても同じだったのかもしれない。彼もまた、傷つけてしまった罪悪感に囚われ、紗月を忘れられずにいた。
もし、そうだとしたら、あのひと言が、あの別れが、ふたりを繋ぎ止める重い鎖だったのかもしれない。
それならいいかもしれない、と思えてしまうのは、間違いなく航生を今も愛しているからだ。
「たしかに、悲しかったよ。でもね……」
紗月は小さく息を吸い、言葉を選びながら続ける。
「もっと嫌われるのが怖くて、ちゃんと航生くんと向き合おうとしなかった。だから、私にも悪いところがあったんだと思う。お互い様だよ」
再会してからも、理由をつけてあの頃の話題を避けてきたのは、結局は自分が臆病だったからだ。向き合う勇気がなかっただけで、航生だけが気に病む必要なんてない。
紗月は頭を上げた航生に、晴れやかな気持ちで笑顔を向けた。
しかし、彼はその笑顔を受け止めきれないのか、複雑そうに表情を曇らせる。
たしかに紗月はあの言葉に深く傷つき、それを長い間辛い記憶として胸の奥にしまい込んできた。けれど、それは、航生にとっても同じだったのかもしれない。彼もまた、傷つけてしまった罪悪感に囚われ、紗月を忘れられずにいた。
もし、そうだとしたら、あのひと言が、あの別れが、ふたりを繋ぎ止める重い鎖だったのかもしれない。
それならいいかもしれない、と思えてしまうのは、間違いなく航生を今も愛しているからだ。
「たしかに、悲しかったよ。でもね……」
紗月は小さく息を吸い、言葉を選びながら続ける。
「もっと嫌われるのが怖くて、ちゃんと航生くんと向き合おうとしなかった。だから、私にも悪いところがあったんだと思う。お互い様だよ」
再会してからも、理由をつけてあの頃の話題を避けてきたのは、結局は自分が臆病だったからだ。向き合う勇気がなかっただけで、航生だけが気に病む必要なんてない。
紗月は頭を上げた航生に、晴れやかな気持ちで笑顔を向けた。
しかし、彼はその笑顔を受け止めきれないのか、複雑そうに表情を曇らせる。