『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
「そんなに、あっさり許してしまっていいのか」
「いいんだって」
紗月は肩を竦めるようにして笑う。
「これから先に進むためって言ったの、航生君でしょ。過去にこだわるのはやめよう。謝るのはこれで最後にしてほしいな」
お互いに、なにも負い目を感じずにいられる関係でいたかった。せめて、夫婦でいる間だけは。
「……やっぱり、君はそういう女性なんだな……ありがとう」
どこか痛みを含んだ表情のまま、航生は声を落とした。ためらうように伸ばされた指が、そっと紗月の手を包み込む。
「たしかに俺は過去じゃなくて、未来に必要なものを手に入れたくて、紗月をここに連れてきたんだ」
「必要なもの?」
航生の雰囲気がガラリと変わったのに気づき、紗月は息を詰める。
「俺たちが再会したのは、偶然じゃない。君に会いたくて、勤務先を調べて会いに行った」
「え……私を探してたの?」
思いもよらなかった事実に紗月は目を瞬かせた。
「ああ。最初は名乗って、きちんと謝るつもりだった。だけど、君の顔を見た瞬間、冷静でいられなくなった。ホテルに連れて行ったのも、契約結婚を持ちかけたのも、ぜんぶ俺の身勝手だ」
「いいんだって」
紗月は肩を竦めるようにして笑う。
「これから先に進むためって言ったの、航生君でしょ。過去にこだわるのはやめよう。謝るのはこれで最後にしてほしいな」
お互いに、なにも負い目を感じずにいられる関係でいたかった。せめて、夫婦でいる間だけは。
「……やっぱり、君はそういう女性なんだな……ありがとう」
どこか痛みを含んだ表情のまま、航生は声を落とした。ためらうように伸ばされた指が、そっと紗月の手を包み込む。
「たしかに俺は過去じゃなくて、未来に必要なものを手に入れたくて、紗月をここに連れてきたんだ」
「必要なもの?」
航生の雰囲気がガラリと変わったのに気づき、紗月は息を詰める。
「俺たちが再会したのは、偶然じゃない。君に会いたくて、勤務先を調べて会いに行った」
「え……私を探してたの?」
思いもよらなかった事実に紗月は目を瞬かせた。
「ああ。最初は名乗って、きちんと謝るつもりだった。だけど、君の顔を見た瞬間、冷静でいられなくなった。ホテルに連れて行ったのも、契約結婚を持ちかけたのも、ぜんぶ俺の身勝手だ」