『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
《ご心配ありがとうございます。わかりました》
《もしあなたになにかあったら、うちの室長、闇落ちしたアンドロイドみたいになって、この会社ごとぶっ壊しかねません》
(闇落ちしたアンドロイドって……土方さんって、ワードチョイスが独特だな)
《それは大変ですね。気を付けます》
大げさな冗談にクスリと笑いながら、紗月は返信を打った。
「ちょっと、休憩してきますね」
時刻は十六時五分前。寺西に声をかけた紗月はファイルに挟んだ資料を携えて、足早に上階にある役員フロアに向かった。
エレベータを降りた静かなエリアは絨毯敷になっており、立ち並ぶドアも重厚だ。明らかに他のフロアとは空気が違い、一瞬進むのを戸惑う。
(えぇと、たしか奥から三つ目のドアだって土方さんが言ってたから、こっちでいいのかな)
一度立ち止まった紗月が、廊下の奥に進もうとしたとき、背後に気配を感じた。
「なんで、君がこんなところにいるんだ」
思い切り肩を揺らした紗月がガバリと振り返ると、至近距離に理仁が立っていた。
「お義兄さん……名古屋にいらしたんじゃ」
《もしあなたになにかあったら、うちの室長、闇落ちしたアンドロイドみたいになって、この会社ごとぶっ壊しかねません》
(闇落ちしたアンドロイドって……土方さんって、ワードチョイスが独特だな)
《それは大変ですね。気を付けます》
大げさな冗談にクスリと笑いながら、紗月は返信を打った。
「ちょっと、休憩してきますね」
時刻は十六時五分前。寺西に声をかけた紗月はファイルに挟んだ資料を携えて、足早に上階にある役員フロアに向かった。
エレベータを降りた静かなエリアは絨毯敷になっており、立ち並ぶドアも重厚だ。明らかに他のフロアとは空気が違い、一瞬進むのを戸惑う。
(えぇと、たしか奥から三つ目のドアだって土方さんが言ってたから、こっちでいいのかな)
一度立ち止まった紗月が、廊下の奥に進もうとしたとき、背後に気配を感じた。
「なんで、君がこんなところにいるんだ」
思い切り肩を揺らした紗月がガバリと振り返ると、至近距離に理仁が立っていた。
「お義兄さん……名古屋にいらしたんじゃ」