『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
今度は口元に笑みを浮かべて楽しそうに話し始めた。情緒不安定と聞いていたが、たしかに少し様子がおかしい気がする。
(これは、変に刺激しないほうがいい)
理仁にしゃべらせながら紗月は隙を伺う。
「航生が後継者になれるわけがないんだよ」
理仁はデスクに近づき、手にしてたファイルをその上に投げつけた。
「あいつは所詮、愛人の子だ。屋敷ではいつも冷たい目で見られてたよ。でも僕はあいつをいじめなかった。なぜだと思う? そうすると、決まって周りが褒めるんだ。『さすが理仁さんですね。航生にまで優しいなんて』ってね」
(……ひどい)
思わず紗月は顔を顰めた。理仁は航生を弟として可愛がっていたのではない。ただ、自分の優越感を満たすために利用していただけなのだ。
「航生は一生、僕の〝下〟でいるべきなんだ」
そのひと言で、紗月の中で張りつめていたなにかが切れた。
「ふざけないで」
紗月は低い声を出しながら一歩理仁に近づいた。
「あなたは航生君を見下すことで、自分が上にいると思い込みたかっただけ。本当は、航生君の方が才能があるって、わかっていたんでしょう?」
(これは、変に刺激しないほうがいい)
理仁にしゃべらせながら紗月は隙を伺う。
「航生が後継者になれるわけがないんだよ」
理仁はデスクに近づき、手にしてたファイルをその上に投げつけた。
「あいつは所詮、愛人の子だ。屋敷ではいつも冷たい目で見られてたよ。でも僕はあいつをいじめなかった。なぜだと思う? そうすると、決まって周りが褒めるんだ。『さすが理仁さんですね。航生にまで優しいなんて』ってね」
(……ひどい)
思わず紗月は顔を顰めた。理仁は航生を弟として可愛がっていたのではない。ただ、自分の優越感を満たすために利用していただけなのだ。
「航生は一生、僕の〝下〟でいるべきなんだ」
そのひと言で、紗月の中で張りつめていたなにかが切れた。
「ふざけないで」
紗月は低い声を出しながら一歩理仁に近づいた。
「あなたは航生君を見下すことで、自分が上にいると思い込みたかっただけ。本当は、航生君の方が才能があるって、わかっていたんでしょう?」