『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
社員が下す経営者への評価は、現実的で容赦がない。この会社で働いた日は浅いが、航生の優秀さは幾度も耳に入ってくる一方、理仁について聞こえてくるのは、凡庸な跡取りという評判ばかりだった。
「うるさい‼」
確信を突かれて、逆上したのか理仁はと大声を上げ、両手で机を叩く。あまりの剣幕に体を揺らしたが、紗月は理仁を睨む目を逸らさなかった。
「それに、あなたは航生君が少しでも幸せになるのが許せなかった。――それは、あなた自身が不幸だから」
子どもの頃から母親からねじ曲がった価値観を植え付けられて理仁は、周囲からも大須賀家の後継者として持ち上げられ、期待を掛けられ、常にプレッシャーを感じていたに違いない。
もしかしたら、彼自身を理解し、寄り添おうとする人間はいなかったのかもしれない。
だから、航生が高校生のとき、紗月と仲が良いのを知ってすれ違わせようと画策した。弟が人並みの安らぎを得たり、幸せになるのが許せない。ただそれだけの理由で。
(たぶんもう、航生君はそれに気づいている)
兄から歪んだ感情を向けられ続けていた航生の気持ちを考えると、悲しくて胸がつぶれそうだ。
「うるさい‼」
確信を突かれて、逆上したのか理仁はと大声を上げ、両手で机を叩く。あまりの剣幕に体を揺らしたが、紗月は理仁を睨む目を逸らさなかった。
「それに、あなたは航生君が少しでも幸せになるのが許せなかった。――それは、あなた自身が不幸だから」
子どもの頃から母親からねじ曲がった価値観を植え付けられて理仁は、周囲からも大須賀家の後継者として持ち上げられ、期待を掛けられ、常にプレッシャーを感じていたに違いない。
もしかしたら、彼自身を理解し、寄り添おうとする人間はいなかったのかもしれない。
だから、航生が高校生のとき、紗月と仲が良いのを知ってすれ違わせようと画策した。弟が人並みの安らぎを得たり、幸せになるのが許せない。ただそれだけの理由で。
(たぶんもう、航生君はそれに気づいている)
兄から歪んだ感情を向けられ続けていた航生の気持ちを考えると、悲しくて胸がつぶれそうだ。