『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
「そうよね。紗月なら変な人を選ばないと思っていたけど、やっぱり立派な方だったわね」

 父に続いて、母がニッコリ笑う。

「お父さん、お母さん」

 それほど心配していなかったが、あっさり受け入れられ紗月はホッとする。すると固唾を飲んで様子をうかがっていた姉の琴葉(ことは)と妹の乃愛もここぞとばかりはしゃぎだす。

「紗月が選ぶの、わかる気がするわぁ。びっくりするくらいのイケメンだし」

「こんなかっこいい人がお義兄さんになるなんて最高なんだけど! さすがさっちゃん!」

「あ、ありがとう」

 琴葉はキラキラと目を輝かせ、乃愛は紗月の腕に抱いてきた。どう返したらいいからわからない紗月はとりあえずお礼を言う。

(ああ、家族全員の全力ウェルカム状態に島君が面食らってる……)

 整った顔を軽く強張らせている航生を横目に、永井家の能天気さが少しだけ恥ずかしくなる。でも、紗月にとっては両親も姉妹も大切な家族だった。

(便宜上の結婚なのに、こんなに喜んでもらってごめんね)

 紗月は罪悪感に浸かりながら心の中で謝る。

「航生君はもう家族だ。硬い話はここまでにしよう。ほら、足を崩して」
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