これは果たして恋なのか。
「そうですか」

その人はそれだけ言って、わたしを見た。

「ところでそこの子」
「へえ!?」

驚きすぎて変な声を出してしまった。恥ずかしすぎて、頬が熱くなるのが自分でわかった。
教室中の注目が自分に集まる。

「屈んでいるけど、体調が良くないのではないですか?保健室まで付き添いますよ」

そう言ってその人は人混みを割って、わたしの元へ来た。わたしの手を取り、立ち上がらせる。わたしを支えるようにして、その人はにこりと微笑んだ。

「えっえっえっ」
どういうこと?なんでこの状況に?てかめっちゃ良い匂いするー!!

混乱しながらも、少しずつ頭が冴えてくる。そうだ。さっきまで土下座させられそうになっていたから、わたしは屈んでて、それをこの子は体調が悪い故だと判断したのか。

そこで、さっきまでわたしを囲んでいたやつの中の一人が、しどろもどろ声を上げた。

「そっそいつ別に体調悪くありませんよ」

いつの間にか、わたしを見る目に羨望と嫉妬の色が混じっている。

「そうなんですか?」
美しいひとはきょとんとし、再び声を発する。

「ではなぜ、屈むこの子をみんなで囲んでいたのですか?」

気まずげな空気が漂う。土下座させようとしていたからなんて言えないのだろう。
みんなが言葉に詰まっている。

「体調が悪いこの子をみんなで心配していたんでしょう?」
問いを投げかけた本人から助け舟が出た。
みんなそれにこくこくと頷く。

やっぱり、と呟いて、美しい人はわたしを連れて出て行こうとする。それに待ったをかける人物がいた。

「ま、待って!」
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