愛なんて要らないから
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「とりあえず、行こうか」
「あの……警察、は?」
「あれはハッタリ。美羽ちゃんが被害届を出したいってことなら一緒に行くけど?」
「いや。あの……」
「身体、痛くて歩けないでしょ?とりあえずおんぶするから、背中に乗って」
皓太さんは私に背を向けてしゃがんだ。
たしかに身体に少しの痛みを感じるけれど、自分の足で歩けないことはない。
これ以上は迷惑をかけるわけにはいかないし、できればもう関わってほしくない気持ちもあった。
「……歩け、ます。大丈夫です」
「おんぶとお姫様抱っこ、どっちがいい?」
話を聞いているのか聞いていないのか。
本来ならスルーして、そのまま自分で歩いて帰りたいところだけど、助けてもらっておいてそんな態度をとることもできない。
そういえば、まだお礼も言えていなかった。
「どっちも嫌、です。助けてくれてありがとうございました。でも、もう私に優しくしないでください」
「……じゃあ勝手に優しくさせてもらうわ」
「わっ、ちょっと……!」
軽々と横抱きにして歩き出した皓太さん。
スラリとした皓太さんは、服の上からだと華奢な身体つきをしているようにみえる。
だけど実際はしっかり筋肉がついていたことを思い出してしまって恥ずかしくなる。
「安心して。この前のバーに連れて行くだけ」
「……わかりました。でも本当に自分で歩けますから」
そう言うと、皓太さんはくすっと笑い、抱っこから降ろしてくれた。
お互い何も話すことなく静かに夜の道を進み、歩いて数分で私たちが出会ったバーに着いた。