愛なんて要らないから
泣くのを我慢していたつもりはなかった。
だけど、皓太さんにそう言われて、急にじわりと涙が溢れてきた。
「悠を……はるを返して……っ」
萌ちゃんさえいなければ、こんなことにはならなくて、私と悠はこれからも一緒にいられたのに。
憎い。憎い……。
悠の未来を奪った萌ちゃんが、憎くて堪らない。
生きていて、自分がこんなにも誰かを憎む気持ちを抱くことになるだなんて思わなかった。
萌ちゃんのことが心から憎くて許せないけれど、悠の命が消えてしまった以上、もう私にはどうすることもできないのが余計に辛い。
「はる……はる……嫌だよ。おいていかないで」
素直になっていいと言ってもらえたから、私は自分の気持ちを絞り出すように口にした。
私は悠と一緒にいたいのに。
どうして連れて行ってくれなかったの?
胸が痛くて苦しくて、涙は止まることなく溢れる。
痛い、苦しい、そんな感情は生きているから感じるもので、溢れて頬を伝う生温かく感じる涙は、私と悠がもう同じ世界で一緒にはいられないことを教えてくれているみたいで。
それを実感して、また涙が溢れる。
どんなに泣いたって悠は戻ってこないし、萌ちゃんがしたことは無かったことにならない。
それでも泣いて悠の名前を口にするしかできない私に、何も言わずに皓太さんはただずっとそばにいてくれた。