愛なんて要らないから
「萌のお母さんに、萌が今どうしているか聞いたら、ひたすら死にたい、悠のところにいくってそればっかりみたいで。恐らく不起訴になった後、精神病院に入院することになるって言ってた」
萌ちゃんは、高熱で動けない悠に無理やり迫って妊娠した後、家族同士の話し合いで妊娠の継続を許してもらえず諦めたらしい。
そのことがきっかけで精神的に病んでしまったことが、悠に対してここまで執着する要因だと分かり、専門的な治療が必要ということみたい。
「俺、これから萌を支えていこうと思う。絶対に萌を死なせたりしない。死んで楽になんてさせない。生きて、自分のしたことの罪の重さを理解してもらおうと思う」
「そっか……いいな、二人には未来があって」
生きていれば、未来は変えられる。
萌ちゃんは治療して反省して、新しい人生を送るのだろうし、大和は萌ちゃんを支えるという使命を果たして罪を償えるのかもしれない。
でも、それは生きているからの話でしょう?
悠の未来はもうないのに。
悠の夢も願いも、この先もう叶えていくことは絶対にできないのに。
「大和と萌ちゃんがこの先どんな人生を送ろうと私には関係ない。でも私には、悠がいない未来しか待っていないんだよ」
私は悠がいない現実と向き合っていかなきゃいけない。
これから、悠のいない未来を歩んでいくしかないのに。
「私が一体、何をしたっていうの?私はただ悠が好きで、大好きで。これからもずっと一緒にいたかった、ただそれだけだったのに」
「……そう、だよな。ごめん。本当にごめん」
大和の顔は一気にくしゃっと歪み、唇を噛みながら涙を流し始めた。