愛なんて要らないから
「俺たちは取り返しのつかないことをした。美羽にも悠にも、許してもらえるなんて思っていない。本当に悪かった」
ずっと頭を下げ続ける大和に、私は何も言えなかった。
いつかこのことを過去にして、大和のことも萌ちゃんのことも許せる日がくるのかな、なんて。
頭を下げる大和のつむじを見て考えてみたけれど、深い悲しみと絶望しかない今はまだ考えられなくて。
これ以上、口を開いても、大和を傷付ける言葉しか出てこない気がした私は、何も返事はせず、車椅子のハンドリムを掴み、自分で車椅子を動かしてその場をあとにした。
皓太さんがどこにいるのかわからない私は、自分で会場へ向かおうと車椅子を動かしていると、少し道に迷って人気の少ない場所に来てしまった。
そのまま進んでみようと思い、角を曲がると、その先に黒い服を着た男女がいて、男の人は皓太さんだった。
皓太さんは一緒にいる女の人に優しく微笑むと、いつも私にしているように頭をぽんっと撫でた。
女の人の顔は後ろ向きで見えないけれど、代わりに皓太さんの優しい表情ははっきりと目に映って、その姿から目が離せない。
すぐに皓太さんは私の存在に気が付き、皓太さんの視線が私へと移ると、そんな彼の目線を追うようにしてこちらを振り向いたのは悠の妹さんだった。