愛なんて要らないから
私は悠に何もしてあげられなかったと思っていた。
悠のことを幸せにできなかったと、もしかしたら私たちが付き合ったこと自体が間違いだったのかもしれないと思うこともあった。
その答えを悠の口から聞くことは叶わないけれど、妹さんが言ってくれた「幸せにしてくれてありがとう」という言葉が、私を救ってくれた気がした。
「彩ちゃん、お兄さんと大切な時間を過ごせたこと、すごく幸せでした。最後に悠に会わせてくれてありがとう」
妹さん……彩ちゃんがいなかったら、私は悠の温もりを感じることができないまま、最期のお別れをしなければいけなかった。
最後に悠の手を握った時に感じたあの温もりを、私は絶対に忘れないからね……。
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彩ちゃんと抱き合って感謝を伝えた数時間後、悠は綺麗な晴天の中、空へと旅立っていった。
優しい悠の元には、私の知っている中学時代の友人から会社の同期、私の知らない高校大学時代の友人、本当にたくさんの人がお別れに来ていた。
そんな、みんなから愛されていた悠に、一人の女性として愛してもらえたことを私は誇りに思う。
そして、私は悠に愛してもらったこのかけがえのない一年の思い出を胸に抱いて、これからも懸命に生きていかなければいけない。