愛なんて要らないから
7
悠の葬儀が終わり、皓太さんの運転する車に乗る。
このまま病院に帰る予定だったけれど、斎場に向かう途中に見えた海に寄りたいとお願いをすると、少しだけならという約束で連れて行ってもらえることになった。
車から降りると、ふわりと暖かい風が吹いてきて、私はゆっくりと深呼吸をした。
ずっと病院のベッドにいたから、こうして外の空気を吸えるのは久しぶりで、病院に戻るのが少し嫌だと感じる。
「お腹の傷、痛まない?大丈夫?」
「斎場を出る時に痛み止めを飲んだので大丈夫です」
身体を気遣ってくれる皓太さんにそう返事をすると、私は海のみえる方へと歩いた。
ここの海では毎年、夏に花火大会が行われていて、昨年は悠と一緒に観にきた。
来年は二人で浴衣を着てまた来よう、そんな約束をしたことを思い出して、また涙が出そうになるのをぐっとこらえて空を見上げる。
悠に心配をかけたくないから、泣かないよ。
そう思っても、最期の瞬間、綺麗に眠る悠の顔が頭の中に浮かんできて涙が溢れた。
「……はる、いっちゃったんだね」
人前では泣けない私。だからたくさんの人がいた場所では涙が出なかった分、ここで一気に涙が溢れてきた。