せっかく凡庸な彼女が自ら身を引いてくれたのに、天才魔術士はそれを許すつもりがないようです
ジェシカはそんなセシルを愛おしく思い、頬を緩めた。
が、その間も意識が手元から離れることはなかった。
いよいよ二つ折りにされている手紙を開く。
と同時に、飛び込んできたのは『合格』の文字。
「セシル、おめでとう!」
初・中等教育を受けられる州立魔法学校の入学試験に受かったのだ。
ジェシカは手紙を握ったまま、セシルのことを抱き締める。
セシルなら不合格になることなどあり得ないと確信していたが、それでもこうして合格通知が届いて安堵する。
「ぼく、魔術士になれるってこと?」
「セシルならきっとなれるわ。だから、魔法学校でがんばってお勉強してね」
「うん、がんばる!」
魔術士になるには、魔法学校を卒業して、さらに上のカレッジで高等教育を受けなければならない。
しかし、セシルなら魔術士になるのも夢ではないはずだ。
かつて5歳だったジェシカもまた、ここノーステリア州よりもっと田舎の州ではあるが、同じような州立魔法学校の門戸をくぐった。
そんなジェシカの目から見ると、セシルはまだ小さな子どもでありながら、母親以上の魔法の才をもっていそうな片鱗を覗かせていた。
それが誰譲りのものであるのか──
ジェシカはそのことにも気づいていた。