せっかく凡庸な彼女が自ら身を引いてくれたのに、天才魔術士はそれを許すつもりがないようです

 まだジェシカが学生だった頃、細フレーム眼鏡のムーンウェイン先生は口癖のように言っていた。

「魔法はどれだけ学んでも、学び尽くすということがありません。どんな形でもよいので、生涯学び続けるという覚悟でいてください」

 セシルが魔法に興味をもたなければ、新たな魔法を学びたいという欲求は生まれなかったはずだ。
 セシルのために魔法を覚えるようになってからは、先生の言葉をよく思い出すようになった。

(先生の教え通りに私が今も学び続けていられるのは、セシルのお陰だわ)

 働いて食べて寝て──
 その繰り返しだけでも十分大変なのだが、セシルのためなら不思議と意欲も湧いてくる。

 かつて、ムーンウェイン先生に憧れて教師になりたいと夢見ていたこともある。
 懐かしい思い出だ。

(セシルの通う学校にも、ムーンウェイン先生のような素敵な先生がいてくれたらいいな)

 ジェシカはセシルの笑顔を眺めながら、セシルの学校生活が楽しいものになることを願った。

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