せっかく凡庸な彼女が自ら身を引いてくれたのに、天才魔術士はそれを許すつもりがないようです

 以前から魔法に興味をもっていたセシルが、魔法を使ってみたい、とはっきり言葉にしたのは3歳のときだった。
 ジェシカが日常的に使ういろいろな魔法に興味をもったようで、具体的にどの魔法を、というのはなかった。
 どれでもいいからとにかく魔法を使ってみたい! という漠然とした憧れだったのだろう。
 あるいは魔法が発動する瞬間に出る光に魅了されたのかもしれない。

 ジェシカは息子の好奇心を手放しで褒め、初歩の初歩から手ほどきした。
 それに応え、セシルは着実にステップアップした。
 そうして4歳になる前に、魔法学校の1年生が学ぶはずの内容をすっかり覚えてしまった。

 セシルはますます魔法に夢中になっていった。
 ジェシカもまた然り。
 セシルに教えることがますます楽しみになっていた。

 その頃になると、あの魔法を覚えたい、この魔法を使いたい、と具体的な要望を出すようになっていた。
 幼い男の子が望む魔法である。
 ジェシカが魔法学校で学んだことの範疇外なこともあった。

 その度にジェシカはセシルを連れて、公立図書館へ向かった。
 ジェシカがお目当ての魔法書を探し当てると、セシルはまだ文字が読めないにも拘らず、決まって目を輝かせた。
 そうして、まずはジェシカが魔法書を読み解き理解し、セシルに実践して教えてやった。

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