私を言葉で抱く年下作家の溺愛
逃げ場がなくなる。

「俺だって」

すぐ近くで、声がする。

「梨沙と一緒にいたいよ」

——その言葉。胸が、揺れる。

でも、それじゃ足りない。

「だったら断ってよ。今夜の取材」

私は顔を上げた。

すると彼は、少しだけ顔をしかめた。

「……断るとまた面倒なんだよ」

視線を逸らす。

——その一言。胸が、ぎゅっと締めつけられる。

私は手を強く握った。震えを隠すみたいに。

「……もう来ない」

小さく、呟く。それが、今の精一杯だった。

すると彼は、すぐに否定した。

「何言ってんだよ」

そして、迷いなく抱きしめてくる。

強く、逃げられないように。

「おまえの家は、ここだろ」

——その言葉。ずるい。

こんな時でも、そう言うんだ。
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